自宅で一緒にくらすために
たとえ介護が必要でも、自宅で一緒に暮らしたい。
それが息子夫婦の希望だった。
だが、そのためには大きな問題があった。
脳梗塞で倒れたおばあちゃん。
命は取り留めたものの、半身まひと、重度の失語が残った。
また、ものを飲み込むことが難しく、
口から食事をとることができなかった。
口からの食事の摂取できなければ、自宅での生活は難しい。
しかし、息子夫婦の思いを第一とした。
おばあちゃんにとっても、それが一番の幸せだっただろう。
口からの食事をとれることを克服し、自宅での生活を目指した。
ご家族から、大切な情報が得られた。
おばあちゃんは、そもそも小食であること。
しかし、アイスクリームは大好きで、毎日欠かさずに食べていたこと(そのときチームは)。
看護師が得たその情報から、アイスクリームに栄養剤を混ぜてみるアイディアが出された。
そのアイディアは、見事にあたった。
おばあちゃんは、喜んで食べたのだった。
それにより、ものを飲み込むことへの改善が徐々に見られるようになった。
その結果、介護サービスの利用はあるものの、自宅に戻って生活することができるようになった。
当初は難しいと思われた自宅での生活も
ご家族と、医療スタッフの連携があって、叶えることができた。
チーム医療では、医療スタッフだけではなく、
ご家族もチームの一員となって、ゴールへ目指すことができる。
補足
※1 初期カンファレンスの報告。ご家族からの情報が活用される結果となった。
【医師】嚥下機能低下は認めるが、病巣から判断し、嚥下障害については廃用的要因が強い
【看護師】もともと少食で、偏食傾向があり、1年中アイスクリームを食べていた。
【理学療法士】重度右片麻痺、高齢のため歩行は困難だが、介助量軽減は可
【作業療法士】尿意便意はあり、軽介助でトイレでの排泄を目指す
【言語聴覚士】嚥下機能低下はあるが、経口摂取は可能。?量ならアイスクリームの摂取も可能と思われる
【管理栄養士】アイスの提供や補助栄養飲料を凍らすなどの対応も可能
【MSW】夫は死別。長男夫婦と同居。嫁は週3回のパートをしているが、時間を短縮し介護をすることが可能。経口摂取が可能となれば、介助が必要であっても自宅引き取りを希望している。
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