呼吸ケアサポートチーム
対象
・呼吸器疾患により呼吸がうまくできない患者さん
(COPD=慢性閉塞性肺疾患:喫煙などの影響により、咳、痰、息切れなどの症状が出る病気、肺炎など)
・人工呼吸器を装着した患者さん
・肺やのどや腹部などの手術前、呼吸に影響がありそうな患者さん
・肺やのどや腹部などの手術前、呼吸に問題がなくても、全身麻酔をかけることによって、術後、呼吸に影響が出る(痰がつまりやすい、肺炎になりやすい)可能性がある患者さん
チームの目的
①疾患や手術、加齢などにより身体の機能が変化して、呼吸がうまくできなくなると、▽酸素の取り込みができない▽痰が貯まりやすくなる▽痰をうまく喀出できない▽摂食・嚥下(食べたり飲んだり)がうまくできないなどの問題が起きます。
②口腔内の細菌や唾液、逆流した胃液など異物が肺に入ると、場合によっては肺炎になり、さらに全身状態が悪化することがあります(「誤嚥性肺炎」という)。
③人工呼吸器を装着している患者さんは、肺炎などの感染症にかかりやすくなったり、呼吸時に働く筋力を使わないので機能を低下させやすくなったります。
以上のように、呼吸に問題を抱える患者さんに対して、早期に呼吸状態の改善をはかります。そのうえで、呼吸が少しでも楽になり、日常生活を過ごしやすくなるようサポートします。
参加するメンバー
医師
呼吸器および全身状態の検査、診断、治療を行います。呼吸ケアチームのリーダー的存在です。
医療ソーシャルワーカー
呼吸器や酸素を自宅に持ち帰る必要がある場合、退院後の生活にかかわる相談、活用できる制度のご紹介、経済的な不安や生活に関する不安の相談をお受けします。
看護師
①24時間ベッドサイドで、呼吸機能および全身状態の観察・評価を行います。
②長期間寝たきり、あるいは、人工呼吸器装着中の患者さんに対して、呼吸状態に合わせた排痰(痰を排出する)ケアや口腔ケアを行い、呼吸器症状の改善、合併症の予防、人工呼吸器の早期離脱に努めます。
③息苦しさや痰詰まりの症状などを改善するために、呼吸や排痰方法、在宅での酸素療法の指導を行います。
管理栄養士
①患者さんに必要な栄養量を算出したうえで、実際の摂取栄養量・不足栄養素・栄養状態の評価をして、栄養補給方法を計画立案します
②▽患者の嗜好への対応▽使用する食品や調理法の決定▽栄養補助食品の選択▽食事形態(普通食・きざみ食・とろみ食など)の提言▽テクスチャー(口当た り・歯ごたえ・舌触りなど)の提言▽水分管理の評価▽経腸栄養剤(腸から栄養を吸収させる方法)における選別の提言、なども行います。
救急救命士
呼吸機能および全身状態の観察・評価を行い、呼吸器症状の改善、合併症の予防に努めます。
①在宅酸素療法の適応となる慢性閉塞性肺疾患患者の急変時に酸素を投与します。
②気管切開患者の気管切開口周囲の壊死による出血に対し、止血処置と吸引、酸素投与を行います。
言語聴覚士
摂食・嚥下機能(食べるときの一連の動作)を評価し、必要な方には訓練や指導を行い、肺炎の予防に努めます。
作業療法士
①患者さんが医療機器で呼吸を管理されているとき、早期離床や日常生活活動(ADL)の獲得を目指した治療・指導・援助を行います。特に、手術後、意識回 復の段階からの高次脳機能障害に対する評価(アプローチ)は、その後の作業療法による介入を円滑に効果的に進めることができます。
②COPD(=慢性閉塞性肺疾患:喫煙などの影響により、咳、痰、息切れなどの症状が出る病気)などの場合、楽に呼吸動作ができるような指導や援助を受けられます。さらに、作業療法士の指導によって福祉機器を導入することで、生活の質(QOL)を高めることができます。
歯科医師
人工呼吸器関連肺炎(VAP)を予防するため、口腔状態を評価し、必要な歯科治療を行い、口腔ケアの実施について指導管理を行う。
歯科衛生士
人工呼吸器を装着している患者さんは、口腔内細菌が人工呼吸器を介して肺に侵入しやすいため、肺炎のリスクが高くなります。また、口から食べられなくなる と、歯、歯肉だけではなく、舌や粘膜、上あご(口蓋)にも多量の付着物がたまり、細菌の繁殖場所となり、口臭の大きな原因ともなります。
そのため、歯科衛生士が口腔内のすべての場所、及び人工呼吸器の周囲をていねいに、安全に清掃し、誤嚥性肺炎の発症を予防し、口臭を軽減します。
診療放射線技師
呼吸管理をする上で必要な画像検査を医師の指示のもとで実施します。
薬剤師
①人工呼吸器を装着すると、肺炎等の感染症にかかることがあります。薬剤師はその予防や対策をします。特に、感染症治療では抗生物質の有効性や安全性を確保するため、薬物の血液中の濃度を測定し、腎機能に応じた投与量の調整や医師への助言を行います。
②呼吸管理されている場合は、限られた点滴ルートから多種多様な薬剤が投与されることが多くなるため、薬の配合変化や溶解後の安定性などの検討を行いま す。また、呼吸抑制を起こす薬剤については、その確認や副作用の早期発見に努めるなど、より安全な薬物療法に貢献しています。
理学療法士
呼吸器の機能および全身状態を評価したうえで、楽に呼吸できるよう、呼吸理学療法(呼吸のタイミングや呼吸時の動作など)や日常生活上のアドバイス・指導を行います。
臨床検査技師
肺活量検査など呼吸に関する検査を行い、レントゲンではわからない肺や気管、気管支の働きの状態を調べ、診断や治療効果の判断を支援します。また、感染が原因となっている場合は、原因となっている微生物の種類を調べ、薬剤の効果などについて情報提供を行います。
臨床工学技士
①人工呼吸器装着中の患者さんに対し、人工呼吸器の専門職として操作や動作確認を行い、常に適切な換気状態を維持します。
②グラフィックモニターなどにより人工呼吸器使用による合併症の予防や軽減を行います。