公認心理師
国民の心の健康問題は,複雑かつ多様化しており,それらへの対応が急務となっています。多様な場面で他の関係者とも連携しながらの心理支援は、今まで臨床心理士などの心理職が担ってきましたが、心理職の国家資格がわが国にはありませんでした。
さまざまな経緯の後,平成27年9月9日に公認心理師法が成立し、平成29年9月15日に施行されたことを受けて、平成30年9月9日に第1回公認心理師試験が実施されました。これによって、2019(令和元)年に公認心理師が誕生し、令和2年9月末現在、登録者数は35444名となっています。
「公認心理師」は、保健医療、福祉、教育、産業・労働、司法・犯罪など多岐にわたる分野や、分野にとらわれない私設心理相談機関などにおいて、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者と規定されています。
1.心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析
2.心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助
3.心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、指導その他の援助
4.心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供
(公認心理師法 第2条)
また、「公認心理師は、その業務を行うに当たっては、その担当する者に対して、保健医療、福祉、教育等が密接な連携の下で総合的かつ的確に提供されるよう、これらを提供する者その他の関係者等との連携を保たなければならない」(公認心理師法 第42条)と、多職種で連携することの義務が明記されました。
公認心理師法の施行を受けて、診療報酬上、これまで「臨床心理技術者」と記載されていたものはすべて「公認心理師」に統一されました。障害福祉サービス等報酬などにおいても同様です。平成27年に施行された「ストレスチェック制度」においては、ストレスチェックの実施者に公認心理師が追加されています。
国家資格になったことで、人々の信頼と期待とがさらに増すことが予測されます。心理職としての重要業務である心理検査、個別の心理カウンセリング、グループアプローチに専門性を発揮しつつ、これまで以上に関係職種・関係機関との連携や協働を進め、チーム医療の一員として貢献できるよう努力してまいります。