ホテル西洋銀座にて会長懇談会開催報告
日本理学療法士協会 吉井智晴(東京医療学院大学準備室)
12月19日 今年度の会長会議があり、18団体34名が参加しました。
最初に各ワーキンググループ(提言WG、教育WG、広報WG、勉強会WG)からの活動報告と来年度に向けての計画発表がありました。(パワーポイント資料参照)
その後、日本病院会の堺常雄会長、今回初めて参加される全日本病院協会の西澤寛俊会長からご挨拶を頂きました。
宴席は当協議会副代表の半田一登の乾杯で開始されました。
当会も3年目を迎え、「参加者同士の距離が近くなってきたなあ~」としみじみ感じました。さらに美味しい料理とお酒も手伝って、話が弾みました。
「お互いの顔がわかること」、「チーム医療を進めたいという『共通の想い』があること」がこんなにも良い雰囲気を作るのだと思いました。
今年の漢字「絆」をここにもありました。
多くの方に興味を持っていただき、さらに「チーム医療」の推進を目指していきます。来年もよろしくお願いいたします。
日本栄養士会 会長 中村丁次(神奈川県立保健福祉大学学長)
-こだわるとこわばるー
昨年の12月19日、銀座のホテル西洋銀座で歴史的な会合が行われた。日本看護協会、日本病院薬剤師会、日本医療社会福祉協会、日本理学療法士協会、日本作業療法士協会、日本放射線技師会、日本栄養士会等、16職種の職能団体の会長と幹部が一同に会した。
日本病院会の堺常雄会長、全日本病院協会の西澤寛俊会長も参加された。主催したのは、「チーム医療推進協議会である。
最近、チーム医療の必要性が真剣に議論されるようになった。医学の進歩により専門分化が進む一方、人々の生活や価値観が多様化し、傷病者の望む医療が高度 化、複雑化してきたために、医師のみの判断や技術だけでは対応できなくなったのがその主たる理由である。1990年代、アメリカでの治療計画と治療におけ るミスによる死亡者数は、年間44,000人から98,000人、そのコストは年間170億ドルから290億ドルと推定され、しかも、その多くが医師の技 術的な問題ではなく、医療システム上の失敗が原因であることが明らかにされた。1998年に設置された大統領諮問委員会はミスを防ぐ戦略の一つとして、多 職種が関わる医療においてはチームワークの改善を行うべきであると提言をしたのである。わが国においても、学会や研究会で、何度となくチーム医療の必要性 や方法は議論されてきた。
チーム医療の理念や必要性は、全ての関係者は賛同する。しかし、いざ具体的な議論が進むと、各職種の特別な意義や重要性、職種の役割分担や就業者数 の議論が起こり、指導権争いや境界領域での役割分担の論争が起こり、理念を高々と捧げる割には前に進まなくなる。理由は多いが、それぞれの専門職の歴史や 養成課程の中で生まれた専門性に対するこだわりが強過ぎるのではないかと考えている。
戦後、多くの医療専門職が養成され、その目標として各職種が独立した存在意義と理念を掲げなければならなかったために、他職種との関わり合いや連携 の教育は少なく、多くの専門職は、自分たちの領域が延びれば医療がよくなると信じている。いや、信じさせられていると言った方がいいかもしれない。
しかし、過度な“こだわり”は、事態が“こわばる”原因にもなる。医療は専門職のためにあるのではなく、患者や国民のためにあることは言うまでもない。 チーム医療の議論は、チームの構成員の地位や役割等の定型的なパターンを変更するのではなく、問題解決のための目標が達成するための能力を最も発揮できる 組織形態に変革させる議論が必要なのだと思う。
さて、前述した会合であるが、各団体の幹部が、和やかな雰囲気の中で顔を見ながら発言を続けていると、お互いに自分たちの目標や思いが同じであるこ とに気が付き始め、それぞれの専門職の距離感は次第に縮小され始めた。各団体の多くの会長が同じように言ったことは、「チーム医療をこれほど長く叫びなが ら、このようにみんなが顔を合わせたのは、初めてだね」といくことであった。
百の議論より、心を開き、話し合い、信頼関係を作ることがチーム医療の原点であることを再認識させられた夜であった。
(日本病院会『病院経営管理』、2012年2月号)
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